日本看護協会によると、看護師の人数は平成19年末の約137万人から平成28年末の約166万人に増加しています。
それでも人材不足に陥っているのには、いくつか理由があります。
1つ目は、育成が難しいためです。
養成所の定員増加などを通して育成強化を図っているものの、育成人材不足というボトルネックがあるため定員増加数は抑えられています。
また、厚生労働省によると、高校卒業者に占める養成所の入学者数の割合は平成20年から平成27年までわずかしか増えておらず、希望者の増加に限界が訪れるリスクがあります。少子化により高校卒業者は減り続けるため、大幅な育成数増加は難しでしょう。
2つ目は、需要数の増加です。
日本の高齢化の進展により、病院などでの必要数は高まり続けています。平成26年の需要数は160万人ですが、厚生労働省の試算によると平成37年には193万人となり、不足が懸念されています。
高齢者数のピークは平成54年の3878万人と予測されており、その頃までは高齢者医療における看護師需要が高まるため、人材不足の状況を改善させるのはなかなか難しいと言われています。
3つ目が、需給のミスマッチです。
育児を行いながら仕事をしたい中年世代の女性は非常勤での勤務を希望する場合が多いですが、病院などで多いのは夜勤を含む常勤での勤務です。また、介護施設など従来とは違う勤務地での需要が高まっていますが、看護師に人気があるのは病院というミスマッチもあります。
そこで、需要側は多様な勤務体系を用意することで、ミスマッチを減らそうと努力しています。そういった職場は長く働ける環境が整っていることも多いので、今現在人材不足による激務に悩んでいるのなら、転職を視野に入れてみると良いでしょう。
■関連ページ=人材不足の職場から脱出しよう